一穂ミチ先生と言えば、「スモールワールズ」が人気作。
まだ「スモールワールズ」は読んだことがないものの、お名前は目にしていました。
本屋さんでみて元気が出そうな作品だったので購入しました。
作品紹介
テレビ業界を舞台にした連作短編集
春夏秋冬の4編から成り立ってます。
舞台になっているが令和になる前の平成最後の時間(だと思う)
コロナ前の雰囲気を忘れかけている今、読むとなんだか懐かしいような気もする。
出てくるのは、40代女性アナウンサー、50代男性報道デスク、20代女性タイムキーパー、30代男性ADとバラバラ
社内不倫をしたり、娘と仲が悪かったりとそれぞれの思いを抱えながら生きているそんな作品です。
テレビの裏側とか考えたこともなかったな
自分があまりテレビ見ないということもあり、ただ流れる情報というイメージだった
そのなかで「マスゴミ」と言われながらも、自分達の信念も持っている人がいるんだなと。
当たり前だけど、全然考えなかったな。
もちろん、自分が享受しているあらゆることは背景に色々な方があってこそ。
当たり前だと思うことは思考が止まってしまうことだなと思うのでした。
本当に「そこにいる」みたいなお話
出てくるさまざまな立場の人間のリアリティがすごい。
絶対こういう人はいるし、自分もそれぞれの人物たちと共通するところがあって。
共感したのは「春」の独身女性のお話。
同世代が変化するところを見てると、不安になったり考えたりする姿が描かれています。
まさしくこれです。
特に好きなのは、「秋」のお話。
主人公は女性で好きになった方が同性愛者なので自分には振り向いてくれない、というお話。
話のテンポもよく、考えさせられる設定もありとても良かった。
隣の芝生は青い
連作なので、登場人物が少しずつ重なっています。
主人公の目線では自分の不十分なところ目立つのに、他の人から見たら輝いて見えるのが垣間見えます。
帯に書いてある「自分で自分に、星をあげよう」は自分の足りないところじゃなくて、自分の良いところに気づいてあげたくなる素敵なメッセージだなと思いました。
私も自分を褒めるのが苦手なんですが、自分のできてるところに星をあげよう
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