作品紹介
「何これ、ときめく表紙、タイトル可愛い」書店にて、この本との出会いです
芥川賞も取られている作家・川上未映子さんの「おめかし」について書かれたエッセイ
2008年~2019年まで、連載されたエッセイ、対談まで幅広く載っている本です。
「おめかし」は主にファッションが軸。
「おめかし」と言っても川上さんはお洋服が好きなようで、気持ちが伝わってくる。
巻頭にはカラーで本文に載っていた本の写真も掲載。
最初に書いた通り、吉田ユニさんの表紙がとにかく素敵。
タイトルの魅力と相まって、引き込まれてしまう。
作家さんとして美しい表現と、川上さんがラフに書かれたパートが混在していてリズムが気持ちがいい。
おめかしに関する密度のある構成
構成としては
- おめかしの引力
- フィガロでの連載
- 対談(2本)
になっています。
個人的に一番刺さったのは、最初の「おめかしの引力のパート」。
刺さったポイントの付箋がいっぱいついています。
理由は私のと当時の川上さんの年齢に近いのが「おめかしの引力」だからかな。
ファッションあれこれ
ファッション関係だとどうしても流行り廃りがある物なので、最初の方の取り上げられているキーワードがなんだか懐かしく。
例えばカラータイツ。
今ではすっかり市民権を得ていると思いますが、かなりパキッとしたカラータイツが流行りましたね。
ファッション以外の価値観も素敵
(こんなに文章書けないですけど)「私が書いたのか?」と錯覚してしまうレベルで首を縦に振ってしまう納得の文章が多かった。
結婚の価値観とか。
私は欲しいものは基本自分で買ってしまうので指輪も自分で買いたいのだけど、意外に理解されないんですよね。味方がいるようで嬉しい
高価な指輪を手に入れることが大事なのではなく、そのくらいの値段のものを、この記念に「買ってもらう」ことにどうやら意味があるらしく、自分で買う指輪に、そんなに大金は出せないものな。やはり「あなたと結婚するからには」という何かしらの対価なのかな。
値段のついた指輪と引き換えに、失うものがあることを予感させている感じがして、色々考えさせられた。
本文 64ページより
変化する世界
後半になるに連れて川上さん自身の年齢、環境の変化が見られます。
お子さんが産まれたり、40代になられたそう。
永遠に同じものはないですよね。
視点だったり価値観は自分が想像していない方向に進むものなのですね。
そんな、コロナの起きてしまった世界をどうみているのだろう。
特にファッション界隈については停滞感が否めないですしかなりラフなお洋服が流行っていますから。
続編か、何か川上さんのおめかしに関するエッセイを読める機会があったらぜひ触れたいです。
蛇足の話
この作品を読みながら思ったのだけど、アラサーになるとちゃんとしたアイテムじゃないとほんとに安っぽい印象になるなと思う。
値段ではなく毛玉とか素材のペラペラ感とかのこと。
寒くなってきたせいかおめかし心が少し落ちていたけど、自分の気持ちいいおめかししていこう。
コメント