作品紹介
「円紫さんと私」シリーズの第1巻で日常系のミステリー短編が5本収録されています。
主人公の「私」は19歳の大学生で落語が好き。
「私」の元にやってくる謎を円紫さんが解いていくという話。
北村先生のデビュー作。凄すぎる
描かれる季節は梅雨の季節から年末のシーズンまで、ちょうど今が読むタイミングとしてはよかったかな
読書背景
米澤穂信先生がお好きな本ということで、気になっていた本です。
読む前からも北村先生のお名前は知っていましたが一度も読んだことがなくこのタイミングとなりました。
北村先生はデビュー当初は覆面作家でしたが、その後に素顔を明らかにさせているそう。
何も知らなかったら、女性作家だと思うかもしれない作品ですね。
私は以前読んでいた本で北村先生のことを知っていたので、「あの先生か」という感じでした。
(先生の方から先に知るってなかなか変わっている出会いだなぁ)
ストーリーの魅力
日常の描写が圧倒的に多くて、謎に関連する部分が多いわけではないとは思う
読み返したら、「こう繋がっていたのか」と思うかも
「胡桃の中の鳥」での旅行の描写が好みでした。
コロナ禍でなんとなくそういうのが憚られるので、
みんなでダラダラ旅行に行ってご飯食べたり写真撮ったりしたいですよね。
終始、流れる雰囲気は穏やか。
その中にも、周りや「私」の感情が揺れ合わさって惹きつけられてしまいました。
途中、苦味を感じたけど、最後の話でホッとするようなところがありました。
作品の中では「空飛ぶ馬」が一番好きでした。
読んだのが冬だったからか、冬の空気の澄んで刺すようなかんじが作品からも漂ってきました。
モチーフの魅力
「私」の年齢
生きている時はその時がベストなので気づかないものですが、大学生くらいというのはやはり青いのだなと思います。
(今の私も 10年後に見たら青いのでしょうね)
若さゆえに揺れやすい感情がストーリーの中に描かれていて、懐かしい気持ちになります。
「私」の年齢にもっと近いときに読んだら、感情移入するところが大きかったろうな。
また読み返したら「私」に感情移入するのか、それとも円紫さんにすることもあるのかな。
落語
読み手の教養次第で面白さを感じるレベルも変わりそう。
落語の話が多く、私は落語については無知なので落語が絡む部分はあまりわからず、楽しみきれたとは言えなかった気がする
取り急ぎ落語をいくつか聞いてみる予定なので、落語について詳しくなったら楽しみたいな。
日常系ミステリーの元祖?
氷菓とか日常系ミステリーが好きな方にはお好きなのではないかな。
意外と2巻が売ってなくて、まだ買えてない
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