「流浪の月」が映画化し話題の凪良ゆう先生。
本作は「流浪の月」よりも優しく包み込む世界がありました。
出先で読む本がなくなってしまったため、急ぎで購入。
これは早く読むべきな本だったのでこのタイミングで読めてよかったな。
運命のタイミング
作品紹介
10歳の百音と統理は血がつながっていない家族。
同じマンションに住む路有と三人でご飯を食べ、暮らしている。
マンションの屋上は縁切り神社となっていて、様々な人が参拝している。
百音と統理、路有、訪れた人物にまつわる連作短編。
読みやすさ
ストーリー:★★★★★
構成:★★★★
登場人物:★★★★★
トータル:★★★★★
300ページくらいありますが文庫本は字が大きいので、意外とすぐに読み終わります。
連作短編集の構成でそれぞれ視点が変わるところが読みやすい。
タイトルの「わたし」は百音ちゃんを指し、プロローグとエピローグは百音ちゃん視点、
他の話は別の人物視点になります。
感想
この作品の魅力を上げるなら、
- 百音ちゃんが好き
- 心のつながりが見えること
が大きいです。
百音ちゃんが好き
私が他に読んだ凪良先生の本の主人公よりも幼い。
(厳密に言えば、「流浪の月」の更紗ちゃんは同い年くらいのはずですが回想なので)
おしゃれで賢くて、気を遣える優しい子。
百音ちゃんがこんなに素敵なのは、世間から<普通>とされなくてもたくさんの愛情と優しさに触れているから。
百音ちゃんと接することが各話の主役たちをちょっとだけ救う。私も救われました。
(個人的にはスパイファミリーのアーニャをもう少しお姉さんにした顔立ちでイメージしてました)
家族の形とは
他から見たら、不思議な家族の形。
私には血はつながっていても心がつながっていない家族が多すぎて、心がつながっていると実感できることが羨ましい。
その気になれば、俺たちは血や戸籍以外でもつながっていける。
簡単ではないけれど、それは確かな光だと思えるのだ。
本文より
この文章をみたときに、日本の血のつながりを最上とする文化はなんだろうと考えてしまって。
私が誰とも繋がれないことの方が圧倒的に悲しく、百音ちゃんが羨ましい。
百音ちゃん、統理、路有の関係を見ていると、程よい距離感で依存しすぎないことが素敵。
それぞれの地獄がある
視点が変わっていくタイプの連作短編集は気付きがたくさんあるなと。
「あの時こう考えていたのか」を理解することはできる点が好きなんです。
全て好きですが、「あの稲妻」が好きでした。
続編希望
最後には大団円という感じで、それぞれが進んでいて明るい気持ちで終わります。
だからこそ、百音ちゃんと統理の関係がどう変わるのか知りたい、見守りたい、知りたいんです。
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