おすすめレベル
サクサクレベル:★★★★★
考えるレベル:★★★
ぐさっとくるレベル:★★★
どんな人におすすめ?
- 高校生などに昔読んだことがある人(大人になっての再読)
- 夏休みの読書感想文に
- 異なる境遇の人の立場を理解したい人
あらすじ
17歳の時田秀美くんが主役の短編集。
秀美くんはサッカー部。勉強はできないが、女性にはモテる。バーで働く桃子さんと交際している。
独特な価値観の母親と祖父や桜井先生など、理解のある人とそうではない人の間で葛藤ながらも進む姿が描かれる
読書背景
この本を読む前に読んだのが重厚な作品だったので、今度はライトな作品を読みたいなと思い手に取りました。
私はKindleで読みました。
中学生くらいに読んだことがあり、その時はイケイケな高校生になれると思っていました(なれませんでした)
大人と子ども
中学生くらいに読んだ時と感想が変わったなと思っています。
自分も大人サイドにいるわけで、この本でいうところの「いい顔」になれているのか?と自分に問うてしまいます。
秀美くんの救いは理解者がいることですよね。
いわゆる「変わった子ども」になってしまう場面でも、1人の人間として扱い、話を聞いた上でアドバイスをすること。
学校や周囲とうまくいかなくても、こういう家族なら戦えるし自己肯定感も高いでしょう。
マジョリティとマイノリティ
名言がとにかく刺さります。
小説はあまり線を引かないのですが、衝動的に線を引きました。
父親の不在に意味を持たせたがるのは、たいてい、完璧な家族の一員だと自覚している第三者だ。ぼくたちには、それぞれ事情があるのだし、それを一生嘆き続ける人間などいやしない。そこまで人は親に執着しないものだ。だって、親は、いつかはいなくなる。それどころか、自分だって、その内、この世から、おさらばしてしまうのだ。
本文「○をつけよ」より
程度レベルはあるにしろ、私はいわゆる一般的な家庭で育ってきました。
欠点はあるにしろ幸せな部類ではあるでしょう。
私自身は片親だからどうこうというのはないですが、他のことでも、マイノリティであることに対しての不幸と決めつけることがあるかもしれない。
何かあった時には、「マイノリティだからだ」と因果関係を結びつけるかもしれない。
やっていないつもりでも、やっている気がしてゾッとしました。
終始淡々としながらもラフに語られるからこそ感じる違和感。
30年ほど前の作品ですが色褪せない名作だなと思いました。
コメント