おすすめレベル
ゾワゾワ度:★★★★
ワクワク度:★★★
サクサク度:★★★★
あらすじ
奇想ホラーの名手・乙一を筆頭に、感涙ラブコメの中田永一、異色ホラーの山白朝子、そして’10年以降沈黙を守っていた越前魔太郎、と鬼才4名が揃い踏み、幻夢の世界を展開する。そしてその4名を知る安達寛高氏が、それぞれの作品を解説。
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20666
レビュー
帯に書いてあったとおりの「異色アンソロジー」、全部自分。
感想を見ると、名義の違いを感じる方、そうでもない方がいるようで
私としてはなんとなくの差は感じるものの非常に曖昧だなと感じてます。
人間は使い分けているようでも同じ人間であり、
時の経過などで変化しても生まれ変わるような完全な分離はないのかなという気がします。
この作品を読んでいて、安達さん(どれで呼ぶのが正しいのかわからないな)の作品には
なんとなくの孤独のような1人でいる空気感があり、
それが私にとっては勇気づけられるものであるということに気づきました。
(ブログはそういうものなので)適当な持論を言いますが
作者の方(と言ってみる)の環境の変化というのが作品に影響を受け、
そして私も初めて乙一さんの作品に出会ってから10年程度が経った。
みんなが平等に歳を取り、そして感性が変わった。
私の中で乙一さんのイメージにある「切なさ」が私の好きな理由なのだと。
自分が辛いことや痛ましいニュースを見て色々感じる今、作品世界でちょっとグロい要素が苦手だなと読み終わって感じました。
きっと10年経つとまたこの気持ちは変わってくる。
また読みたい作品たちでした。
各作品のレビュー
乙一/愛すべき猿の日記
この作品の勢いが好き。
普段私の周囲には本を読まない人が多く、本を読んでいるとびっくりされます。
「そもそも活字が無理」と言われるともうどうしようもないのですが、
本が与えてくれる世界の開く感覚は他の経験に負けるものではないと思ってます。
本による世界の広がりに希望を感じる短編でした。
乙一/山羊座の友人
乙一さんといえばこうだよねと読みながら心臓がキュッとしながら読了。
寝る前にちょっと読もうと思ったら止まらなくなり、
読み終わった後はなんともやりきれない感情を持ちながら、就寝しました。
現代の日本の課題の1つのいじめについても、メッセージ性を感じます。
中田永一/宗像くんと万年筆事件
これシリーズ化しないのかな。宗像くんの未来が気になる最後。
宗像くんの扱いや現代の教育などメインの話とそれを取り巻く状況がなかなか胸が痛くなります。
小学校が舞台で私のイメージでは割と、ことなかれ主義の先生は多いイメージですが
それはやはり変わらないのかな。
中田永一/メアリー・スーを殺して
さすが表題作。好きです。
ちょっと私に近いから好きなんだと思います。
私は青春時代に漫画やアニメが好きで、青春を満喫している人たちから少し離れた距離にいた。
キラキラに憧れて、メイクやファッションにも気を遣うようになりました。
変化に対するパワーをもらえました。
山白朝子/トランシーバー
乙一さんで「失はれる物語」という作品がありますが、それを思い出しました。
ホラーと聞いたので山白さんの作品を読むのが怖かったですが、これはホラーの要素が少なめでした。
山白朝子/ある印刷物の行方
読みならすごく複雑な気持ちでした。
切なさ、怖い、幸せな瞬間など。
母親や子供などの生がモチーフなので、読んですぐの今もぼんやり考えています。
越前魔太郎/エヴァ・マリー・クロス
越前さんの個性がわからない状態で読んだので、葛藤のある作品でした。
心の置き所に困るというか。
『魔界探偵 冥王星O ヴァイオリンのV』を読まないといけないんだろうなということがわかりました。
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